東京都担当者へ送った内容
1月16日には、青山霊園の再生事業についての質問に詳しくお答えいただきありがとうございました。
都が青山霊園に公園としても利用できるスペースを作ることを託されていることは理解しておりますし、私達も東京にはもっと公園が必要だと思っています。
また公園緑地部のみなさまが、限られた予算の中、都民に公園スペースを提供することを誇りを持って取り組んでくださっていることにも感謝しております。
都の計画と私達が外人墓地区について考えていることは、基本的には大差はありませんが、現在そして将来において外人墓地区が公園としてどのように公共に対して役割を果たしていくかについては異なっていると思っています。
ご承知のように、青山霊園の外人墓地区は東京に残る数少ない明治時代からの遺産であり、歴史的ユニークな場所であるため、その取り扱いには細心の注意を払う必要があります。
外人墓地の一角は特に明治時代を思い起こさせる雰囲気があり、墓石は現在の日本へと導くガイドの役割を果たした方々を象徴しています。このような歴史的価値があるからこそ、開発プランを作る際にはコミュニティーとの議論を慎重に重ねるべきだと考えています
上記と1月16日にいただいたご回答を踏まえ、外人墓地区をより価値のあるものにしていくため国際遺産を守る会として、懸念事項・提案事項に分け改めて気付いたことをお伝えしたいと思います。
1)スケジュールについて
懸念事項:青山霊園の他のエリアと比べても外人墓地区の工事は早い時期に設定されているように思います。
なぜそんなに急ぐ必要があるのでしょうか?
提案事項:外人墓地区の歴史的な雰囲気を保つことができるようなプランを作るために工事時期をもう一度設定し直いただくことを提案します。
2)外人墓地を見渡すための広場について
懸案事項:広場を作ることによって人々が訪れそこから写真を撮影したりする機会は増えたとしても、実際に外人墓地区を散策し明治時代を身近に感じるとることは難しくなるかもしれません。
提案事項:眺める場所を提供するより、実際にお墓に敬意を払いながら散策できるよう 案内板を整えたり、外人墓地で生活している方には移動していただくことのほうに費用や作業を増やしたほうが、本当の意味で、より外人墓地を身近に感じていただけるのではないでしょうか。
3)植木や環境について
懸案事項:生垣や樹木を芝に植え替えることは、東京の「ヒートアイランド現象」を増長させることになるのではないでしょうか。
現在ある樹木や灌木は、墓石を環境によるダメージから守る役割りも果たしていると思われます。落ち葉の掃除からは開放されるかもしれませんが、風は強く日陰は少なくなり、訪れる人にとっての魅力も半減してしまいます。
提案事項:樹木や灌木については、そのまま残し、植木の状態を調査することをお願いします。古くて異常があり枯れているような植木については、できる限り昔のままの種類の植物を植え替えるようお願いします。
4) 保存活動
懸案事項:外人墓地を現代化することは、都会の生活ではなかなか得ることのできない自然な趣を求めている人々にとっても、
また、他とは違うし変わった雰囲気を求めている人々にとっても魅力が半減してしまうという残念な結果をもたらします。
提案事項:外国人墓地区を歴史的区域としてそのままに残していただきたい。そのままでも充分に魅力的ですし、広場をわざわざ作らなくても、(また植木を撤去しなくても)いい写真を撮ることは可能です。
5)史実について
懸案事項:日本は時に、歴史を必要に応じて書き換えたり隠したりして非難されることがあります。外人墓地区を改装することは、
国内外のみなさんからそのように捉えられてしまうことも考えられます。
提案事項:国際遺産を守る会は、外国人墓地に眠る多くの人々を調査してきました。私共が集めた情報を喜んで提供し、重要なお墓一つ一つに「名前、国籍、日付、その方が残した功績など略歴」などの情報を埋め込んだ石や青銅などの札を立てます。
興味のある方が、その札についているQRコードを携帯電話で取り込むと情報が読めるようにしてはいかがでしょうか。
6)顕彰碑について
石原知事が関心を持ってくださっていることに対して有難く思っておりますし、知事が率先して近代日本を作るのに貢献した外国人を認めてくださっていることにも感謝しております。しかしながら、このような記念碑は予期せぬ結果をもたらす可能性があります。
懸案事項:記念碑と引き換えに史跡そのものを失うことは一般的に起こり得ます。
(公園緑地部の内部資料では、都に使用権が移ったお墓は、移動させることはないとなっているようですが、法律や条例で定めたわけではありません)将来、顕彰碑と引き換えに外人墓地区が保存されなくなってしまうことを心配しています。
提案事項:外人墓地区をただ記念として残すのではなく、史跡として保存することを提案します。人々が散策し身近に感じることが出来るような史跡は、記念碑より都や国にとって価値があり役立つと考えています。
最後に、青山霊園の外人墓地区がより歴史的に価値のある空間として存在していけるよう工事計画や予算の使い方を見直していただきたい。そうすることで、外人墓地区は青山霊園の他の空間とはまた別の意味合いを持つ趣で、さらに人々の高い関心を集めると同時に、諸外国との日本の国際友好関係をさらに発展させていくきっかけになると考えます。
予算内で最大限に価値のあるプランであり、都政のヴィジョン実現にも貢献できると確信しています。
お忙しいところ恐れ入りますが、ご検討の上 都庁のご見解をお知らせくださいますようお願いします。ご連絡お待ちしております。
国際遺産を守る会
伊藤
Posted by Jonathan at January 30, 2007 10:07 PM
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